日本財団から、世界の18歳に対して社会や国に対する意識を調査した結果が発表されました。その結果が衝撃的です。
「自分を大人」、「責任ある社会の一員」と考える日本の若者は約30~40%と他国の3分の1から半数近くにとどまり、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字となっています。さらに「自分で国や社会を変えられると思う」人は5人に1人、残る8カ国で最も低い韓国の半数以下にとどまり、国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1。全体に途上国、欧米先進国のいずれと比べても数字の低さが際立つ調査結果となっています。
情報源: 日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査) | 日本財団
未来を信じられない若者たち
自国の将来が良くなると答えた日本の若者はわずか9.6%、次に少ないドイツでも21.1%、インドやベトナムでは7割から8割が良くなると考えていることと比較すると、その少なさが際立ちます。
いつからこれほど、日本は本当に「斜陽の国」に入っているという思いが世の中に広まったのか。少子高齢化や人口減少、続くデフレと、確かにマクロ的に「成長」が感じられる話題が少ないのは事実。
それでも、せめて18歳の若者には、自分が背負う将来の日本が良くなると信じてほしいし、信じられるようにしなくてはいけないと思います。
社会に関わる実感が無い
そうした中で気になるのは、「自分の国に解決したい社会課題がある」「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」と考える若者の比率も、日本は目立って低いということです。
そして、その結果でしょうか、「自分で国や社会を変えられると思う」と考える若者はわずか18.3%、「将来の夢を持っている」「自分は責任ある社会の一員だと思う」と答えた若者の比率も少なくなっています。
社会課題について議論している割合は27.2%ですが、他国では、低い韓国でも55.0%、その他の国々では7割から8割あることを考えると、これは若者だけの問題ではなく、社会としての問題であると言えるでしょう。
議論する場が若者の意識を変えていく
議論の必要性がよりクリアになるのは、この設問に「はい」と答えた若者ほど、その他の項目でも高い比率で前向きな回答をしている結果を見たときです。
周囲と社会課題について議論している若者では、「自分の国に解決したい社会課題がある」と答えた割合が80.9%となり、そうでない若者の38.7%とは顕著な違いがあります。これはもちろん、因果が逆かもしれません。解決したい課題を持っているから議論するということかもしれませんので。
しかし、「自分で国や社会を変えられる」と答える若者は44.9%あり、これもそうでない若者の8.4%と明確な差があることはどう考えればいいでしょうか。そして、「将来の夢を持っている」は78.3%となり、やはりそうでない若者の53.3%と差がついている。
議論する場を提供する
この結果を通してみると、若者に「社会課題について積極的に議論する」機会を作っていくことが、その若者の将来の夢に対して、あるいはこの社会に関わっているという実感に対して、大きな影響を与えるのではないかと考えざるを得ません。
残念ながら今の日本では、政治について公の場で語り合うことはむしろタブーのように感じられている面があります。この感覚はどこで育まれたのでしょうか。
政治の話題でなくてもいいでしょう。せめて人口減少や福祉政策、経済成長などの社会課題について、自由闊達に議論できる場があればと願います。
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