社会階層と社会移動全国調査 (SSM調査) などをもとに、親の状況と子どもの学力の関係を分析した結果をもとにした記事です。

よく言われる、格差が遺伝するという話を裏付ける結果。

どんなに本人が努力しようにも、結局は自分が生まれた「地域」や「家庭」によって人生は大きく左右されてしまう。そういわれてしまうと身もフタもない残酷な話だが、最新の研究データはそうした傾向を如実に示している。

情報源: 家の蔵書数と学歴の相関 10冊以下の人の大学進学率は23.1% | マネーポストWEB

蔵書数の背景にある両親の環境

最初に取り上げられているのは蔵書数と子どもの学歴の関係で、家にあった蔵書の数が10冊以下の場合の大学進学率が23.1%であるのに対して、501冊以上の場合は76.4%と、その差が歴然とあります。

本に触れていると学問への意識も高くなる、という話であればまだしもなのですが、この結果を分析した早稲田大学の橋本健二教授がコメントされているように、蔵書の背景には親の学歴や収入があるため、そう単純な因果関係ではありません。

地域も学歴に影響する

書籍調査と同じSSM調査によると、地方よりも都市部に高学歴者が多いこともわかっています。大学は都市部に集中していますから、大学に進学してそのまま就職という現状を考えると、これは想定されたことではあります。

しかしその結果として、地方では「大学に行かせる親」というコミュニティがなく、むしろ「高卒で十分と考える親」の集団の方が形成されやすいという覚悟は必要です。

子どものコミュニティでも、大学を目指して切磋琢磨する環境は得られにくいのは事実でしょう。

地域ならではの学び

もっとも、地方で子育てすることが子どもの学歴に及ぼす影響については、最終的には個々の家庭の姿によります。地方に暮らしていても書籍は買えますし塾通いも可能(送迎はたいへんですが)、習い事もできます。

逆に、秘密基地を作ったり虫や草花をとったりといった、地方でしかできない価値をプラスアルファすることを考えるべきなのでしょうね。都市ではできる子が限られている「レア」な体験。

違いを埋めようとするのではなく、それを前提に利用する。これからの時代は、こうしたユニークネスを前提に育った子どもの方が社会に活きる時代になると信じたいものです。

▼Question for New Rules
環境の違いを埋められないとすれば、利用することはできないか?

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